はじめに|「ショート動画を作りたいのに時間も技術もない」という壁をAIで越える
YouTube Shorts・TikTok・Instagram Reels——縦型のショート動画は今や最も拡散されやすいコンテンツフォーマットのひとつです。多くの企業やクリエイターがショート動画での発信を強化している一方、「アイデアが出ない」「台本を書く時間がない」「動画編集が苦手で続けられない」という理由で踏み出せていない方も少なくありません。
今、ChatGPT・Google Gemini・Claudeといった生成AIを活用することで、ショート動画制作の「企画立案・台本作成・構成設計・編集指示書の作成」といった工程を大幅に効率化できるようになっています。
ただし、ここで正確に理解しておく必要があるのは、ChatGPT・Gemini・Claudeはテキスト処理に特化した生成AIであり、動画ファイルそのものを自動で生成・編集する機能は持っていないという点です。「動画を自動生成する」という文脈でよく語られる機能は、RunwayやPika、Sora(OpenAIが開発した動画生成AIで、2025年5月時点で一部ユーザーに公開中)といった専門の動画生成AIが担っており、ChatGPT・Gemini・Claudeとは別のサービスです。
本記事では、チャット型生成AIがショート動画制作のどの工程を担えるのかを正確に整理した上で、動画制作に欠かせない「企画・台本・構成・編集指示」をAIで効率化する具体的な実践方法をご紹介いたします。
第1章|チャット型生成AIがショート動画制作で担える役割を正しく理解する
AIが「できること」と「できないこと」を整理する
チャット型生成AI(ChatGPT・Gemini・Claude)がショート動画制作において担える役割と、担えない役割を明確に整理します。
チャット型AIが得意なこと:
- ショート動画の企画アイデアの大量生成
- ターゲットと目的に合わせた台本・セリフの作成
- 動画の構成設計(冒頭フック・本編・行動促進の流れの設計)
- 動画編集ソフト向けの「編集指示書」の作成
- テロップ文・字幕の文章生成
- 動画説明文・ハッシュタグの生成
- 既存の長尺動画をショート動画に転用するための要約・切り抜き箇所の提案
チャット型AIが単体ではできないこと:
- 動画ファイルそのものの生成・編集・出力
- 映像素材の自動選定・合成
- 音声・BGMの生成・組み合わせ
- 動画への自動テロップ挿入・エフェクト適用
動画ファイルの実際の生成・編集には、CapCut・DaVinci Resolve・Adobe Premiere Proなどの動画編集ソフト、またはRunway・PikaなどのAI動画生成ツールが別途必要です。チャット型生成AIはこれらのツールを使う「前工程」と「指示出し」を担う存在として活用するのが、現実的かつ効果的な使い方です。
ショート動画制作のワークフローにおけるAIの位置づけ
ステップ1:企画・アイデア出し → チャット型AIが担う ステップ2:台本・セリフ・構成設計 → チャット型AIが担う ステップ3:撮影・素材収集 → 人間が行う ステップ4:動画編集(カット・テロップ・BGM) → 動画編集ソフト・AI動画ツールを使って人間が行う ステップ5:説明文・ハッシュタグ作成 → チャット型AIが担う
第2章|ChatGPTでショート動画の企画・台本を作る実践プロンプト
プロンプト例①:ショート動画のアイデアを大量生成する
以下の条件で、YouTube Shorts用の動画アイデアを10本分生成してください。
【チャンネル情報】
・ジャンル:料理・時短レシピ
・ターゲット:20〜30代の一人暮らし社会人
・チャンネルのトーン:親しみやすい・実用的・テンポよい
【条件】
・各アイデアにタイトル案(20字以内)と
30秒で伝えられる内容の概要(50字以内)を添える
・「冒頭3秒で視聴者を引き込める」フックが含まれるアイデアを優先する
プロンプト例②:60秒ショート動画の台本を作成する
以下の条件で、YouTube Shorts用の60秒台本を作成してください。
【テーマ】
「5分で作れる豆腐チャンプルー」のレシピ紹介
【構成の条件】
・冒頭3〜5秒:視聴者の興味を引くフック(驚き・共感・問いかけのどれか)
・本編:手順をテンポよく紹介(材料・調理ステップ)
・ラスト5秒:チャンネル登録を促すCTA(Call to Action)
【台本の形式】
・セリフ(ナレーション)
・画面に表示するテロップ
・映像のイメージ(どんな画を撮るか)
を3列で並べた表形式で作成すること
・話し言葉・テンポよい短文で書くこと
・「〜してみてください」「ぜひ試して」など
視聴者に語りかける表現を使うこと
プロンプト例③:長尺動画からショート動画用の切り抜き箇所を提案させる
以下は私がYouTubeに投稿した10分間の動画の字幕テキストです。
この中からYouTube Shortsに切り抜いて使えそな
「60秒以内で完結する場面」を3箇所提案してください。
各提案に以下を含めてください。
・切り抜き箇所の開始〜終了の目安(例:3分20秒〜4分15秒)
・なぜその箇所がショート動画に向いているか(50字以内)
・ショート動画のタイトル案
【字幕テキスト】
(動画の字幕テキストを貼り付ける)
第3章|Google Geminiでショート動画の構成とトレンドを強化する
Geminiはトレンドとの接続・視聴者心理の分析に向いている
Google Geminiは「今どのようなコンテンツが視聴者に受け入れられているか」という文脈との接続が得意です。ショート動画の構成設計において「フックのパターン」「今旬のフォーマット」について提案してもらう際に活用できます。
Geminiへの依頼例:フックパターンの提案
YouTube Shortsで視聴者を冒頭3秒で引き込むための
「フックのパターン」を10種類提案してください。
各パターンについて:
・フックの種類(疑問型・驚き型・共感型など)
・具体的な言い出しの例文(料理チャンネルを想定)
・このフックが効果的な理由
一般的に語られているショート動画の傾向をもとに提案してください。
(確定的なデータや数値の引用は不要です)
動画説明文とハッシュタグをGeminiで一括作成する
以下のショート動画の内容をもとに、
YouTube Shorts投稿用の説明文(150字以内)と
ハッシュタグ(10〜15個)を作成してください。
【動画の内容】
5分で作れる豆腐チャンプルーのレシピ紹介。
材料3つで完成する時短・節約レシピ。
ハッシュタグは「ビッグワード・ミドルワード・ニッチワード」を
バランスよく含めてください。
第4章|Claudeで台本の品質と編集指示書を仕上げる
Claudeは台本の品質チェックと詳細な編集指示書の作成が得意
Claudeは長いテキストの文脈把握と論理的な評価を得意としており、ChatGPTやGeminiで作成した台本の「流れ・テンポ・言葉の選び方」をチェックして改善する用途に向いています。また、動画編集者や外注先に渡すための「編集指示書」を詳細に作成するフェーズでも力を発揮します。
Claudeへの台本チェック依頼例:
以下のYouTube Shorts用台本を評価してください。
(台本を貼り付ける)
評価の観点:
1. 冒頭のフックが3秒以内に視聴者の興味を引けているか
2. テンポが60秒以内に収まる分量か(話すスピードを
「1秒あたり約4〜5文字」として概算してください)
3. 言葉の流れが自然かどうか・改善すべき箇所はあるか
4. CTAが自然に締めとして機能しているか
改善案も具体的に提示してください。
動画編集指示書をClaudeに作成させる
外注先の編集者やアシスタントに動画編集を依頼する場合、台本をもとにした「編集指示書」をClaudeに作成させることで、意図が正確に伝わる指示書を短時間で用意できます。
以下の台本をもとに、動画編集者に渡す「編集指示書」を作成してください。
(台本を貼り付ける)
編集指示書に含めてほしい内容:
・各シーンのカット割り(シーン番号・映像内容・時間目安)
・テロップを表示するタイミングとテキスト内容
・BGMの雰囲気(明るい・テンポよい・落ち着いたなど)
・トランジション(場面転換)の推奨スタイル
・全体の完成尺の目安
第5章|生成AIをショート動画制作に活用する際の注意点
AIが生成した台本はそのまま使わず自分の言葉に直す
AIが生成した台本は自然な日本語ですが、自分のキャラクターや話し方と合わない表現が含まれることがあります。そのまま読み上げると「台本を読んでいる感じ」が出てしまい、視聴者に伝わりにくくなることがあります。必ず自分の言葉に直し、実際に声に出して確認してから使用してください。
著作権・肖像権・薬機法・景品表示法への配慮を忘れない
ショート動画を公開する際には、使用するBGM・映像素材・画像の著作権を確認してください。また、商品の効果・実績に関する表現は景品表示法・薬機法の観点から適切な範囲に収めることが必要です。AIが生成した台本や説明文に誇張表現が含まれていないかを確認してから使用してください。
動画生成AI(Runway・Pika・Soraなど)との役割の違いを理解する
「ショート動画を自動生成する」という文脈では、映像そのものを生成できるRunway・Pika・Sora(OpenAIが開発した動画生成AI)といった専門ツールの活用も広がっています。ChatGPT・Gemini・Claudeは動画ファイルを生成するツールではないため、映像の自動生成が目的の場合は上記のような動画生成AIを別途使用してください。
おわりに|AIを「制作の前工程パートナー」として使いこなそう
ChatGPT・Google Gemini・Claudeを活用したショート動画制作の効率化は、「動画を自動で作ってくれる」ではなく「企画・台本・構成・編集指示書を素早く用意できる」という形で実現します。ChatGPTで企画・台本を大量生成し、Geminiでフックとトレンドを強化し、Claudeで品質チェックと編集指示書を仕上げる——この三段階の使い分けが、ショート動画制作の「制作前工程」を大幅に効率化します。
動画を作り続けるための最大のハードルは「何を作るか」「どう伝えるか」を毎回考える労力です。AIはここを肩代わりしてくれます。ぜひ今日から、一本分の企画アイデアをAIに出してもらうことから始めてみてください。
本記事は、ChatGPT・Google Gemini・Claudeの2025年5月時点における一般的な機能・特性をもとに執筆しております。Soraについては2025年5月時点での公開状況をもとに記載しておりますが、各サービスの仕様・提供状況は随時更新されますので、最新情報は各公式サイトをご確認ください。
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